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クロスカルチャーコミュニケーション (家庭編)  (2003/3/1)

2012/05/16 11:31 に Hosyuko Admin が投稿
  • 医院や学校などで通訳や英語ができる友人の手助けを借りるとき、医師や教師、カウンセラーと向き合うのはあくまでも私たちで、通訳はいわば「黒子」に過ぎません。言葉の問題はあるにせよ、一人の大人として堂々と相対せばいいわけですが、医師や教師を前にすると緊張からか挨拶の言葉をかけられてもろくに返事もせず、相手の顔から目をそらして黙って笑っているだけ、通訳から促されて返答はするものの、応対は通訳に任せっぱなしということもあるようで、「主役は誰ですか?」という声が聞こえてきます。残念ながら、言葉がわからないから照れているんだな、と思ってはもらえず、一体誰の用件で来ているんだろう?挨拶を知らない人かな?と不思議に受け止められてしまいます。もちろん、相手の中には英語が苦手とわかるともっぱら通訳に向かって話しかけてくる方もいるようですから、向き合おうにも向き合えない、という事情もあるでしょう。ただ、いずれにせよ「当事者は私」という意識をもつこと、まずこれがコミュニケーションの出発点だろうと思います。
  • そして当事者としての「はじめの一歩」は何といっても挨拶。挨拶が人間関係を築く要となることは洋の東西を問いませんし、相手の方は、せめて挨拶は私たちの口から英語で聞きたいと考えています。私たちはやっているつもりでも、そう受け止められていないのも現実、そこでもう一度基本をおさらいしておきましょう。
    • Nice to meet you Kathy.
      相手の名前を覚えることは、基本中の基本です。初対面なら必ずMy name is Kathy と名前を教えてくれますから、Nice to meet you Kathyと必ず名前をつけて挨拶を返します。相手の目をキチンと見ることもとても大切なことです。次回からHi Mat、Good afternoon Mr. Williamsと相手の名前とともに挨拶をします。スペルを尋ねる、名刺をもらうなど工夫をして、是非名前を覚えて口にして下さい。
    • How are you doing today?
      I am fine、I'm OK、 I am all rightなど、通訳を介さなくてもいくつかの挨拶は是非英語でできるようにしましょう。病気で調子が良くないときは、"not so good"でOKです。
    • Where are you from in Japan?
      どこから来たのかもよく尋ねられる質問です。Saitamaと言っても相手には日本のどこなのかわかりません。東京や京都との位置関係や、特徴を簡単に説明できるように準備しておくといいでしょう。
    • How do you like living in Alabama?
      この質問はしばしば無視されるか、ただ微笑んでうなずいているだけ、ということが多いそうです。誰もが多かれ少なかれ自分の郷土には特別な意識をもっているもの、社交辞令の色合いが多少出るとしても、アラバマ生活で気に入っていることをいくつか英語で伝えられるようにしましょう。
    • How long have you been in Alabama? How long will you be in Alabama?
      アメリカ生活がだいぶ板に付いてきた方でも、うっかり聞き間違える、聞き分けることが難しい質問のようです。次回はちょっと意識して聞いてみてください。
    • You speak English very well!
      誉められるとつい「no, no」と謙遜してしまいますが、これも奇異に映るようです。「Thank you」といえば十分、遠慮はいりません。
  • 子供を病気で休ませたとき、医者に診てもらったことを私たちは「病院へいってきた」とつい口にしているようで、しばしば学校の先生や事務の方を驚かせています。「went to the doctor」ないし「went to the doctor's office」という言い方をすべきなのですが、南部では重大な病気にかかっている意味に受け止める「went to the hospital」と言って驚かせているそうです。
  • 医師からもらった処方箋をもってドラッグストアで薬を購入、確か医師は点眼薬と言っていたはずなのに、いざ使おうと思ったら薬の説明に耳の絵が書かれている、、、結果はドラッグストアのミス。こんなことも私たちの身近に起こっています。このケースでは、医師が自分に何を処方したのかをキチンと聞いていたこと、そして服用にあたり注意書きを自分の目で確認したことが事故を未然に防ぎました。こんな例からも、通訳まかせにしない、自分のこととして係わることの大切さを理解することができます。
    余談ですが、薬の服用歴は大切なデータですから、服用の記録を是非残しておきましょう。病状が変化したり他の疾病を併発して処方医以外の医師にかかる際、薬の服用歴は欠かせない情報となるはずです。この意味から、日本から持ち込んだ薬を飲むことは避けたほうがいい、という人もあります。服用している薬の成分を医師が知ることができないからです。
  • 最後に、ちょっと耳の痛い話を2つ付け加えておきましょう。
    一つ目は、人前で大きな声を出して子供を叱ること、或いは自分の子供について悪く言うことについてです。これらを「躾」ないし「謙遜」という文脈で理解してくれることはまずなく、「何で自分の子供を、本人を前にしてそんなに悪く言うのだろう?」とアメリカ人は感じています。ひいては、子供を庇護する資格のない大人(「虐待」)と誤解されるおそれがありますから、是非やめたほうがいい、ということでした。
    二つ目は、先ほどの「一人の大人としての当事者意識」とも繋がることですが、家庭教師の契約に関することです。家庭教師は、双方の合意の下に成り立っている契約関係ですから、その内容の変更や解約は原則として合意に基づいて行われなければなりません。しかし、中には理由を説明することもなく突然に解約を申し出て、相手を困惑させているケースがあると聞きます。こうしたいという希望があれば率直に話をして解決への努力をまず双方ですべきでしょうし、その結果が解約となるにしても、一定の「予告期間」を経た上での解約とすべきでしょう。アメリカが訴訟社会である、ということを持ち出すまでもなく、日本人の常識からしても取るべきプロセスは明らかだと思います。言うまでもありませんが、言葉が十分でないとしても、それを理由にした「甘え」はどの社会でも許されないことです。


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