ちょうど1週間前、Birmingham News紙上に、小学校から高校にかけて行われる3種類のテスト結果が掲載されたことをご存知でしょうか。毎年この時期に発表されるもので、3年生から8年生のStanford Achievement Test(SAT)、5年生と7年生のWriting Assessment、そしてAlabama's High School Graduation Exam(卒業試験)の3種類をさします。
毎年、公立校に通う対象学年の生徒は全員これらのテストを受けます。ESLの生徒は、原則として2年間は試験を免除されますが、卒業試験にはそのような免除規定がなく、この試験をパスしなければ高校卒業の資格が得られません。SATはReading、Language、Science、Mathematicsの4教科、Writing Testは課題作文、高校卒業試験はSATと同じ4教科にSocial Studiesが加わります。
高校の卒業試験は、卒業年度に一斉に受けるものではなく、教科毎の試験を卒業までにパスすればいいというものです。学習進度の早い生徒は10年生でテストを受け合格してしまうことも珍しくありませんが、多くの場合は11年生の間にパスし、残った学生も卒業までには合格するというパターンになっています。
テストの結果は、個人にフィードバックされるとともに、学校・学校区毎のReport Cardとして家庭に配付されます。また州内全公立校・学校区の結果は州のDepartment of Educationから公表され、これが新聞にも掲載されますので、広く多くの方が目にするデータになる訳です。というのも、この試験結果が学校や教員のパフォーマンスを図る「ものさし」の一つと考えられている為で、成績不振の学校は納税者から厳しい視線を受け、また州の監視プログラム下に入ることにもなります。
今年は去年までとは異なり、連邦法の新しい規定に応じ、人種・収入レベル・性・障害・移民比率等の区分に応じた結果を公表するようになりました。その結果、新聞の見出しには、「Rich, poor gap in scores」(収入レベルの差がテスト結果にも)という従来からあった分析に加え、「Officials find spreads within affluent school」(財政が裕福な学校内でも家庭の所得差による成績差)、「Asian students lead the state」(アジア系が成績をリード)といった新しい分析が並びました。
ボランティア活動等を通じて保護者も学校運営に積極的に係わってゆく一方で、教員のパフォーマンスもデータに基づいて厳しくチェックしてゆく。こんなところからも公立の学校教育に対する日米の意識の違いが感じられます。
蛇足ですが、私たちにできる学校のボランティア活動は数多くあります。言葉の壁はありますが、見よう見まねでできることは少なくないはず。ちょっと勇気を出して是非ボランティアに挑戦して下さい。親がアメリカ人の中に入って挑戦する姿は、子供の目にきっとに素敵に映ることと思います。先生に会うチャンスが増え、顔を覚えてもらえるようになることも、とても大切なことです。
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