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歯・ハグ・はぐき   (2003/6/7)

2012/05/16 11:16 に Hosyuko Admin が投稿
  • HUG(ハグ)やKISSの習慣があって顔を近づける機会が多いからでしょうか、歯の健康や口臭に関する意識は私たちよりもアメリカ人の方が高いように見受けられます。薬局の棚に並ぶマウスウォッシュの種類の多さにもその一端がうかがえますし、定期的に歯科に通う習慣も当地では一般的です。日本では虫歯の時だけお世話になっていたものが、アメリカに来てからは歯科医の勧めに応じて虫歯の治療が終わった後も、半年に1度のクリーニングとチェックアップを続けている方も多いと思います。
  • 歯科の専門領域による分化も進んでいます。日本では何でもこなすオールマイティな歯科医が普通ですが、当地では、
     ・Dentist 通常の虫歯治療医
     ・Periodontist 歯茎、歯槽に関する治療医
     ・Endodontist 神経を扱う治療医
     ・Orthodontist 矯正歯科
     ・Oral surgeon 抜歯専門
     ・Pediodontist 小児歯科
    といった具合です。Medical の場合と同様、Generalな歯科医から必要に応じて専門医を紹介してゆくシステムがここでも行われています。
  • 歯科医でクリーニングとチェックアップのあとにもらう試供品をながめていますと、歯ブラシやペースト、フロス、マウスウォッシュはもちろん、舌の除菌グッズなんてものもあり、多様な商品群から歯の健康をめぐる関心の高さを感じます。ただ、歯科医によれば、虫歯や歯周病・口臭予防の決め手は、なんといっても歯磨きとフロスの習慣。私たちには、歯磨きはともかく、フロスは少し縁の薄い習慣かもしれませんが、その効果は単に歯のすきまを掃除するだけではないようです。
  • 口腔内には多くのバクテリアが常時生息していますが、これらが結合して強力な複合体(microbial complex, biofilm, film)が作られると、それが虫歯や歯茎の病気を引き起こすと考えられているそうです。歯茎に感染しますと、通常は痛みを伴わないことから自覚のないまま進行してしまい、歯周病(gingivitis)のうちはまだいいものの、歯根周囲に及ぶ病気(periodontitis)に至って歯科医を訪れる頃には、歯を失うことを覚悟しなければならない状態になっていることもあるようです。実際、成人が歯を失う最大の原因は歯茎の病気によるものだそうです。
  • このバクテリアの複合体による侵食は、日に2回の歯磨きと1回のフロスで、十分に防ぐことができるそうです。フロスは、歯茎を侵し歯を失う原因となる病気を引き起こすバクテリアの複合体をかき回し壊す大切な働きをします。これがフロスの見えない、しかし最大の効果だということなのです。
  • 歯磨きだって面倒なのにフロスまでするのは煩わしいとも思いますし、日本ではまだそれほど広がっていないじゃない?とも思います。ただ、こちらで普及している様子を見ていますと、ちょっとやってみようかな、という気持ちも芽ばえてきます。フロスはアメリカ生活で身につけられる最も経済的で効果の高い習慣かもしれません。歯とハグとハグキのために。



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