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クロスカルチャーコミュニケーション (2/8/2003)

2012/05/16 11:10 に Hosyuko Admin が投稿
  • 先般、州内のある企業で日本人駐在員の英語クラスを開設するにあたって簡単なサーベイが行われ、その中の質問項目のひとつとして、

    Are there any issues related to cross-cultural communication, especially cultural differences that interfere with work communication - that you would like to see addressed in English language classes?(異文化間のコミュニケーションに関連した問題点、とりわけ文化の違いが職場でのコミュニケーションの妨げになっていて、日本人の英会話クラスで取り組んで欲しい問題がありますか?)

    という質問をアメリカ人社員向けの質問書に設けたところ、興味ある回答が数多く寄せられました。その中からいくつかご紹介したいと思います。

  • Need to address the issue of saying "yes" or nodding, smiling, even when Japanese don't understand. Japanese need to communicate directly that they don't understand when they don't understand. (理解していないのにYesといったり、うなずいたり微笑んだりすることは問題だということを取り上げて欲しい。理解できないときは、すぐに分からないと言うべきだ。)

    ---話の内容を理解していなくても、話を聞きながら「Yes, Yes」と口にしたり、「うんうん」とうなずきながら相手の話を聞いてしまうことはよくあることです。また、話を聞いている最中に分からないと口にすることは、相手の説明が悪いというニュアンスになってしまうかもしれない、、そもそも自分の英語力不足が原因だし、、後から人に聞いて内容を確かめればいいか、、などと思い、理解しないまま会話を終えてしまうことは多くの方が経験されているのではないでしょうか。しかし、分からないことは分からないと、はっきりさせることがこちらの流儀、分からないと言わなければ分かったものとして相手は考えてしまいます。後から「やっぱり違うよ」と言っても、相手は「何で今ごろ?」と感じてしまうのでしょう


  • Associates need to be able to explain the deeper reasons for a particular action or a judgement rather than say it is Japanese style.(具体的な行動や判断の際、これが日本のやり方だからと言うのではなく、きちんと理由を説明できるようになって欲しい。)

    ---理由を説明したくてもどうせうまく伝えられないからと、つい「日本ではこうやっている」という説明だけで、その場をおさめてしまいがちではないでしょうか。「なぜ」の中にこそ伝承すべき考え方やノウハウが込められているはずですし、アメリカ人社員もそれを待ち望んでいます。
    また、思いがけない「なぜ?」の問いかけが、これまでの常識や思い込みを見直す契機になることもしばしばあります。しかし現実には、日本人から一番聞きたいことを聞くことができない、そんなアメリカ人社員のフラストレーションが感じられます。


  • Learning to praise and correct properly would help with associate relations; someone else says that "criticizing people in front of others" is a problem.(上手な誉め方・叱り方を学べば、アソシエイトとの関係がもっとうまくいくのではないか。他人の面前で人を批判することが問題のひとつ、と聞いたことがある。)

    ---アメリカ人は本当によく人を誉めます。朝礼や会議など、さまざまな場面で、ちょっとしたことでも必ずGood Job、Great Jobと賞賛します。その一方で、注意したり叱ったりすることは決して他人の面前では行わず、人目のないところで慎重に(しかし率直に)行うようです。その点、日本人はどうでしょうか。"あうんの呼吸"ではありませんが、「言葉でいちいち説明しなくても、あいつは俺の考えが分かっているさ」というスタイルは、まだまだすたれていない気がします。また、人前で叱ることについては、「周りの人間も何が問題なのか理解できて、かえっていいじゃないか、、、」という意見があれば、「それもそうかな」と思ってしまいそうです。しかし日本ではどうあれ、他人の面前で叱られる、批判されることにアメリカ人は全く慣れていませんし、大変な侮辱を受けたと捉えてしまいます。


  • その他には、
    distinction between "directions and strong requests" and anger - choice of tone
    (指示ないし強い依頼?それとも怒っている?トーンをはっきり区別してほしい)
    politeness(丁寧さ、丁寧な表現)
    the correct way to interrupt(話に割って入る時の言い方)
    political correctness(以前にご紹介しました)


    などがありました。私たちのつたない英語から、何とか真意をくみ取ろうとするものの、トーンがつかめず当惑している様子や、直接的な言いまわしに対するいらだち、状況に応じた言い方やマナーを習って欲しいという願い、そんなことをこれらの指摘から感じることができます。

  • 英語を学ぶことは、単に言葉を習得するだけではなく、日本語の環境や文化とは異なる、新しい文化を知ることでもあります。異文化に対する感受性をみがき、「優劣」の視点ではなく、「違い」を前提としていかに効果的なコミュニケーションを図り協働してゆくか。駐在員一人ひとりに課せられた、この古くて新しい課題を改めて意識させられるサーベイでした。


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