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トルネードの基礎知識(1) (2002/12/7)

2012/05/16 11:04 に Hosyuko Admin が投稿
  • 11月5日の中間選挙投票日に州南部を襲ったトルネードは、州知事選の投票結果をめぐる混乱の影に隠れてあまり報道されませんでしたが、10日のトルネードは私たちが暮らすカウンティにも警報や注意報が出ましたし、この日に発生した数十ものトルネードは、アラバマ州を含めいくつもの州で大きな被害をもたらしましたので、ご存知の方も多いと思います。日本ではなじみの薄いトルネードですが、アメリカでは最も身近に感じる天災の一つ。そこで、今回と次回の2回にわたってトルネードに関する情報を整理しておくことにしましょう。
  • アラバマはトルネードが多い?
    1950年から約50年間の数字をひろってみますと、件数では50州中13位、死者の数ではテキサス、ミシシッピに次いで3位。件数が最も多い年で55件(2001年)、少ない年で2件(1950年)、平均で22件のトルネードが発生しています。毎年平均7人の方がトルネードで命を落とし、州内のどこかでトルネードが発生した日は年平均11日。そして、これらの数字に州の人口や面積、被害金額などを考慮に入れてトルネードの危険を指数化した試みによれば、アラバマ州の「トルネード危険度」は全米で7位ということになるそうです。
    州の中ではどうでしょうか。カウンティ毎の死者数をみてみますと、州の中央部から北西のカウンティに被害が多いようです。ちなみにトップはJefferson County、広いこともありますが、1916年以降合計で123人の方が亡くなっています。
  • アラバマでトルネードが多いのはいつ?
    同じく1950年から約50年間の統計によれば、最も件数が多い月は3月から5月、これに次いで抜きん出て多いのは11月です。晩秋に多いというのは意外かもしれませんが、昨年は春先がほとんどゼロで、11月、そして10月に多くのトルネードが発生しました。ただ、規模の大きなトルネードだけをみてみますと、なんといっても3月と4月、11月は並の月とかわりません。なお、発生する時間帯では、午後から夕方がピークとなっています。
  • トルネードの強さ
    トルネードの強さを計る尺度として広く用いられているものに「Fujita Scale」または「F-Scale」と呼ばれる尺度があります。これは、建物などの被害の大きさから推量してF0からF5(F6)までの6(7)段階でトルネードをランク付けするものです。地震の「震度」同様、結果から主観的に推測するものなので、その科学性には疑問の声もあるようですが、現実的で簡便な方法として広く用いられています。形容詞の勉強のようですが、F0は「Gale」、 F1「Moderate」、F2「Significant」、F3「Severe」、F4「Devastating」、F5「Incredible」、そしてF6は「Inconceivable Tornado」と名付けられています。ちなみに、発生するトルネードの約4分の3はF0とF1の「Weak Tornado」。10日に州内外で発生した一連のトルネードは、速報ベースでF1からF3に分類されています。
  • トルネードはなぜ発生する?
    伝統的に「暖かく湿ったメキシコ湾からの大気と、カナダからの冷たい空気、そしてロッキー山脈から吹く乾燥した風が交じり合うことで生まれる」と考えられてきました。しかし、このような気象条件の下では確かにサンダーストームが多く生まれるものの、なおトルネード発生との因果関係が明らかではないとされ、正直なところ今もよく分かっていないのが実情のようです。ただ、経験からいって大気の状態が不安定なとき、断続的に雷雨や強風が続く天候のときにトルネードは発生するようですから、そのような天候の日はTVやラジオをこまめにチェックする必要があるといえるでしょう。
  • Tornado Watchと Tornado Warning
    これは、National Weather Serviceという機関が発令するトルネードに関する注意報と警報です。Tornado Watchは今後数時間のうちにトルネードが発生するかもしれない気象状況のときに、かなり広いエリアを対象に発令されます。情報収集に努め、万一の事態に備えて準備することが望ましい段階です。一方、Tornado Warningは、実際にトルネードが目撃されたり、レーダーに映ったことを受けて発令される警報で、限定されたエリア(カウンティ単位)に数十分の時限付きで発令されることが通例です。このWarningが出たら、時間の猶予はありませんので、ただちに避難行動をとる必要があります。TVのローカル局は通常の放送を取りやめトルネード情報に切り替わりますし、街にはサイレンが鳴り危険が差し迫っていることを伝えます。
  • NOAA Weather Radio (NWR)
    情報収集の上で忘れてはならないソースにNWRがあります。NWRは連邦政府の機関が運営する放送局で、全米に750以上の局を配置し、どの地域でも概ね162.5MHz前後で気象に関する警報・注意報、その他「All Hazards」に係る情報を24時間放送しています(Birminghamでは 162.550MHz)。また、比較的廉価に手に入るWeather Radioと呼ばれるラジオがあり、緊急時にはアラーム音とともにスイッチが自動的に入り必要な放送を聞くことができます。  (次へ続く)
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